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FUMA Contemporary Tokyo | BUNKYO ART

鈴木弥栄子

リリスの庭

FUMA Contemporary Tokyoは鈴木弥栄子展を開催いたします。

5/22 sat - 6/5 sat  2021
日・月休廊  |  12:00 - 19:00
会場:FUMA CONTEMPORARY TOKYO|文京アート


Yaeko Suzuki Exhibition
The Garden of Lilith

May 22th to June 5th
12:00-19:00 
Closed on Mondays and Sundays

鈴木弥栄子は、2010年の初個展以来一貫して「少女性」をテーマに作品を発表してきた。その作品は、古典的な油彩技法で描かれている。何層にも作り込んだ白亜地に透明なグレーズ層やワニスを重ねて精緻な画面を創造する。作品は外界の干渉を拒絶し、自らを護りながら閉じ込める薄紗(ヴェール)や繭のイメージと響き合い、鑑賞者を引き付ける。他者を排した時空の中で、等身大の膜に包まれ微睡んでいた2010年の個展 《柔らかな檻》。 作家自身が鏡の中に、そして鳥籠に囚われた肉体を描いた2012年の個展《少女蜜室》。これら過去に於ける展示で、鈴木は常に 「顔のない私」で満たされた孤独で居心地のよい空間を描き続けてきた。プライヴェートで純度の高いその世界は、しかし作家自らを抑圧し、少しずつ絵筆の進みを遅らせることになった。

 2018年の個展《Unlocked girls》で 、作家は今まで頑なに守ってきた規則 (ルール) を解くことになる。少女達に初めて顔を描き入れたのである。そして、作品の世界観は大きな変化の兆しをみせ始める。自己と周りの世界との間にある薄い膜と、その表皮の質感の上を彷徨い続けていた作家の視線は、まるで鏡と向かい合うように「自己=少女」を作品の世界に見出すことになっていった。絵筆によってより明確な意志と物語性を得た少女達は、やがて自らを安全で清らかな子供部屋に閉じこめようとする一角獣からの逃亡を夢みるようになる。

 本展のメイン作品 《リリスの庭》では、少女は幾つもの鍵のかかった部屋からの脱出を成し遂げ、謎めいた庭の女主人と対峙している。 旧約聖書に〈夜の魔女〉として書かれるリリスは、アダムの肋骨より生まれ、従順さと母性、そして少しの愚かさで象徴されるイヴとは対象的に、外典ではイヴよりも前に神が創造した最初の女として語られる存在である。アダムの支配を拒みエデンの園を去ったリリスは、自由と奔放、解放の象徴であり、描かれた庭には沢山の小さな野花が光り輝いている。そこに辿り着いた少女の問いかけるような強い眼差しに、泰然とした表情のリリスは応えない。ただ、手ずから折り取り念入りに雄蕊を除いた純白の百合が、その手の中で少女を照らす福音のように差し向けられている。 さかしまの受胎告知の構図は決して処女懐胎を意味しない。描かれているのはむしろ、サフィズム(sapphism)の仄光と、抑圧から逃れて自身を受け入れようとする冒険のハイライトシーンであろう。相まみえる二人の少女達は作家によって分たれた未来-過去の姿であり、すべての自由をその身に体現する可能性を授けられる瞬間の聖画なのである。
 
 鈴木弥栄子の描いてきた「少女性」とは、その可憐さとは裏腹に鑑賞する者の面前に自らを客体として差し出す媚態を持ち合わせてはいない。寧ろ息苦しいまでの潔癖さを湛えている。 ついに世界の中に自らを得た少女達は、もはやフリルの陰には隠れず、挑むような眼差しでまっすぐこちらを見返している。その美しい庭は広大で、自由で、そして過去に描かれた作品の世界と同じく簡単には足を踏み入れることができない場所なのである。

 

Yaeko Suzuki has consistently presented her works on the theme of ‘girly innocence’ since her solo exhibition in 2010. She used to create delicate images using classical oil painting techniques and attracts viewers by rejecting the interference of the outside world. Each painting was like a cocoon that protects and confines her.
 
With her current artwork content, the artist is hoping to address the struggle of living in developed yet still patriarchal world. Her upcoming solo exhibition ‘The Garden of Lilith’ depicts the glory of sapphism, it shows an attempt to escape oppression, to accept oneself. 

The main painting with the same title is a reverse response to Eve, a sacred being, who has been used as a tool to oppress women and shows Lilith, the first woman God created before Eve, who refused Adam’s rule and became a symbol of liberation and unbridledness.
The two girls in the painting who face each other are the future and the past, who meet in a moment of realization, that they are unrestricted. Yaeko’s girls are no longer hiding behind cute frills and tulles, but with challenging look they move forward to break from male dominance.

The world of her work is a place you can't easily set foot in, but the message is strong and empowering.

 

 
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